建設ICTホームページ

建設ICT読本2022

HOME >> Ⅰ なぜ建設現場でICTが必要か? >> 3. ICTの有効活用に向けて

3. ICTの有効活用に向けて

不安定な建設市場、ICTの高度化、BIM/CIMの進展、ICT施工の普及を受けて、建設業においても今までの既成概念を越えたところで、経営課題の解決に向けたICTの有効活用の発想をしなければならない。特に図3-1に示すように社内の情報システムをベースとして、工事現場での適用が可能な様々なサービスやシステムを的確に採用し、加えて社員のICTリテラシー向上や情報セキュリティには配慮しつつ、建設分野の生産性の向上を目指すことが重要である。(国土交通省が2015年11月より「i-Construction」として推進)

図3-1 建設業におけるICTの有効活用
図3-1 建設業におけるICTの有効活用

ICTの高度化によって建設現場においても活用できるシステムが増えている。AIの導入では顔認証入退場管理やコンクリートひび割れ検査等。品質や安全に関する過去事例を学習し、現場条件から遅延が発生しやすい作業や事故・ミスの起きやすい作業を表示するシステム等で利用されてきている。UAVを利用し災害発生時の被災状況の早期把握、人の立ち入りが困難な箇所での調査や搭載したカメラによる写真測量やレーザーによる3次元計測を実施している。スマートフォンやパソコンを使って離れた場所からでもリアルタイムに現場の状況を映像で確認することができ、安全管理や防犯対策、工程管理にも役立てている。また、建設ロボットを利用し在来の建設機械に自動制御,遠隔操作,無人運転を付加したものや,人力作業を代替する新たなコンセプトに基づくロボットや一連の作業工程をシステム化した自動化施工の実施など人手不足の中で有効である。
ICT施工は国土交通省が推進する「i-Construction」のひとつであり、情報蓄積、計測技術、通信技術、遠隔操作技術などを組み合わせて施工の合理化を図るものである。施工の合理化や品質の向上などその効果が確認されICT施工の導入は増えつつある。
表3-1に示すように建設現場でも活用できるICTが増えている。今後はより一層、建設企業間の競争が激化されるので、品質、コスト、工期、安全を向上させる戦略として建設現場でのICTの有効活用は益々重要になる。

表3-1 工事現場で活用されつつあるICT技術
ICT技術解説主な活用事例
AI 人工知能(AI)とは、人間の思考プロセスをソフトウェアを用いて人工的に再現したもの。 画像をAIで解析することによる顔認証入退場管理やコンクリートひび割れ検査等。品質や安全に関する過去事例を学習し、現場条件から遅延が発生しやすい作業や事故・ミスの起きやすい作業を表示するシステム等。
AR,VR,MR
  • AR(Augmented Reality):拡張現実-現実空間に付加情報を表示させ、現実世界を拡張する技術、MRの概念も含む。
  • VR(Virtual Reality):仮想現実-コンピュータ上に人工的な環境を作り出し、時間や空間を超えてそこにいるかのような感覚を体験できる技術。
  • MR(Mixed Reality):複合現実-現実世界にCGなどで作られた人工的な仮想世界の情報を取り込み、現実世界と仮想世界を融合させた世界をつくる技術。
計画段階や施工前での完成形の合意形成。MRによる現地での位置確認や検査。VRによる遠隔臨場。
BIM/CIM (Building/Construction Information Modeling,Management)
調査・計画・設計段階から3次元モデルを導入し、その後の施工、維持管理の各段階においても、情報を充実させながらこれを活用すること。
建設生産システムの計画、調査、設計、施工、管理の各段階において情報を共有することにより、効率的で質の高い建設生産・管理システムを構築する。
UAV (Unmanned Aerial Vehicle)
無人で飛行する航空機の総称。ほぼ同じ意味でUAS (Unmanned Aircraft Systems)やドローン( drone)と呼ばれることもある。
災害発生時の被災状況の早期把握、人の立ち入りが困難な箇所での調査。搭載したカメラによる写真測量やレーザーによる3次元計測。
Web会議
(オンライン会議)
インターネット環境とパソコンやスマートフォンといったデバイスを利用して遠隔地の拠点とつなぎ、映像・音声のやり取りや、資料の共有などを行いリアルタイムで会議や打ち合わせなどを行える仕組みのこと。 新型コロナ対策として、密を避けた朝礼や打合せ、作業間調整会議など。
ライブカメラ、
ウェアラブルカメラ
ライブカメラとは、インターネット回線を通じて撮影した映像をリアルタイムに配信できるカメラ。 スマートフォンやパソコンを使って離れた場所からでもリアルタイムに現場の状況を映像で確認することができ、安全管理や防犯対策、工程管理にも役立ちます。
Ex)遠隔臨場検査、巡回。
遠隔施工
(無人化施工)
無人化施工では建設機械やその周辺にカメラを搭載または設置し、撮影した映像を遠隔操作室まで無線伝送する。オペレーターが、遠隔操作室で伝送された映像を見ながら建設機械を遠隔操作する。 自然災害が発生した場合など人間が立ち入ることができない危険な作業現場において、バックホウ、ブルドーザ、運搬車両などを遠隔操作により土工事やブロック積などを行う。
クラウドサービス 従来は利用者が手元のコンピュータで利用していたデータやソフトウェアを、ネットワーク経由で、サービスとして利用者に提供するもの。利用者側が最低限の環境(PCなどの端末、その上で動くWebブラウザ、インターネット接続環境など)を用意することで、どの端末からでも、さまざまなサービスを利用することができる。 設計書、図面、工程、写真、計測データ、書類など工事に関する情報を共有し管理することで業務効率を向上させる。
ICT建機
(MG:マシンガイダンス/MC:マシンコントロール)
  • MG:トータルステーションやGNSSの計測技術を用いて、施工機械の位置情報・施工情報、及び現場状況(施工状況)と設計値(三次元設計データ)との差異に関して車載モニタを通じてオペレーターに提供し、操作をサポートする技術。
  • MC:マシンガイダンスの技術に施工機械の油圧制御技術を組み合わせて、設計値(3次元設計データ)に従って機械をリアルタイムに自動制御し施工を行う技術。
MC/MGバックホウによる掘削、法面成形、河道浚渫。MCブルドーザによる掘削、敷き均し。MCグレーダによるに不陸整形や路盤整形。
建設ロボット 建設現場で危険な作業や単純画一的な作業を人間に代って行う機械。 在来の建設機械に自動制御,遠隔操作,無人運転を付加したものや,人力作業を代替する新たなコンセプトに基づくロボットや一連の作業工程をシステム化した自動化施工を含む。自動搬送ロボット、巡回ロボット、建設機械の自動運転。
5G LTE-Advanced(4G)の次の世代となる第5世代移動通信システムです。高速・大容量に加え、多接続、低遅延(リアルタイム)が実現される。 遠隔操作。カメラやセンサーなどのIoT機器と組み合わせて工事現場の見える化によるリアルタイム管理。
前のページへ

ページTOPへ