2018年 年頭あいさつ 新春に寄せて

2019年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。会員の皆さまには、平素より協会運営に格別のご理解とご協力をいただき、厚く御礼申し上げます。本年も倍旧のご厚情を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

さて、昨年を振り返ってみますと、例年にも増して自然災害が多い年でした。年始の豪雪災害に始まり、本白根山の噴火、島根県西部地震、岡山、広島、愛媛を中心とした各地での豪雨・台風災害、大阪北部地震、北海道胆振東部地震など、日本全国で被害が相次ぎ、さらに記録的な猛暑が長く続く年でもありました。

毎年のように起こる大災害に、安倍晋三総理大臣は今後3年間、防災・減災、国土強靭化のための緊急対策を集中的に実施していくことを表明されています。これに伴い、「2019年度国家予算案」では老朽化した重要インフラを補修するため1兆円程度が計上され、公共事業関係費は前年度より最大で2割増の7兆円規模となる見込みとのことです。

東京都においても、昨年末の都議会において小池百合子知事が「防災事業や気候変動対策を一層進化させ、都民の安全・安心を守るとともに、政治経済の中枢としての首都機能を強靭化する」と述べられ、緊急性の高い防災事業や暑さ対策のスピードアップのための補正予算案を提出されています。

われわれ建設業は、国民の生命と財産を守るために、これらの施策に応えてまいりたいと存じます。

一方、世界経済に目を向けますと、米中の貿易摩擦を背景として、不安定で先行きが不透明な情勢となっています。世界秩序の重しとなっていたアメリカが自国第一主義を標榜している影響は大きく、11月に開催された「APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議」においては、首脳宣言の採択を断念するという異例の事態となり、続く「G20首脳会議」においても、首脳宣言に「反保護主義」の文言を記載することができませんでした。国際協調が困難な局面を迎えている中、今年のG20は6月に大阪で開催されますが、議長国である日本には、取りまとめ役として大きな責務があります。少しでも良い方向に進むことを願っております。

ところで、建設業界においては、「働き方改革」への対応が重要な課題となっております。2024年3月までの猶予はあるものの、週休二日の導入など、若年者の入職促進や女性活躍推進のためにも業界を挙げて早急に取り組む必要があります。

加えて、昨年末には、外国人労働者の受け入れを拡大するための改正「出入国管理・難民認定法」が成立し、この4月から施行されます。今後、建設業界にどのような形で導入されるのか、業界発展に支障のないよう見極めていかなければならないと思います。

さらには、「建設キャリアアップシステム」が4月から本格運用開始となります。技能者の処遇改善のために協力してまいりたいと存じます。

今年は今上天皇陛下の退位、新天皇陛下の即位により元号が変わる節目の年であります。また、9月にはラグビーワールドカップ、そして、いよいよ来年は「東京オリンピック・パラリンピック」が開催されます。さらに、2025年には日本で55年ぶりとなる「大阪万国博覧会」が開催されることが決定しました。世界的な祭典が切れ目なく続くことにより、高い経済効果が期待されているところです。

こうした中、地方法人課税の配分を見直して、財源を大幅に地方に移転させる措置がとられようとしています。東京の財源が地方に移転することによって、東京が疲弊してしまうのでは、結果的に日本経済全体が弱体化することにも繋がりかねません。政府には、日本経済が失速することのないよう賢明な措置が取られることを切に願うものです。

結びに、日本経済が安定的かつ持続的に発展し、東京のみならず日本全体が活力にあふれた明るい年となることを願うとともに、会員企業各社の益々の発展と魅力ある建設業となることを祈念いたしまして、年頭の挨拶とさせていただきます。

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