○生物多様性保全に関する動向
国内の取り組み
日本は1993年に生物多様性条約を締結し、これを実行するため、1995年に生物多様性保全のための基本方針である「生物多様性国家戦略」が策定されました。
その後、2008年には、生物多様性施策に関する基本事項が定められた「生物多様性基本法」が制定され、「生物多様性国家戦略」の位置づけを明確するとともに、地方自治体による「生物多様性地方戦略※」策定を促しています。
これらを基に、基本法制定以前にあった鳥獣保護法など生物多様性の保全に関する個別法を運用しながら、野生生物の保護、外来種対策、自然環境の保全・再生などが進められています。
なお、2010年に改定された「生物多様性国家戦略2010」では、基本戦略として、@生物多様性の社会への浸透、A地域における人と自然の関係の再構築、B森・里・川・海のつながりの確保、C地球規模の視野を持った行動の4つを掲げ、具体的施策や数値目標が示されています。
◆生物多様性基本法
野生生物とその生息環境、及び生態系のつながりも含めて保全するはじめての包括的な法律。豊かな生物多様性を将来にわたって継承し、その恵みを持続的に得ることができる「自然共生社会」づくりの実現が目的。生物多様性の保全と持続可能な利用について基本原則を定め、国、地方公共団体、事業者、国民及び民間の団体の責務を規定している。
◆生物多様性国家戦略
生物多様性基本法に基づき、生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する国の政策の目標と取り組みの方向を定めた国の基本計画。生物多様性基本法の目的達成のため、短期目標・中長期目標を掲げ、4つの基本戦略を立てている。また、行動計画として、約720の具体的施策が体系的に整理され、35の数値目標が設定されている。
※東京都では「生物多様性地方戦略」を平成23年度中に策定する予定。
◎生物多様性に関する国内外の動向
年 |
国内の動向 |
国際的な動向 |
1975 |
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ワシントン条約発効 ラムサール条約発効 |
1992 |
種の保存法制定 |
生物多様性条約採択 |
1993 |
環境基本法制定 |
生物多様性条約発効 |
1994 |
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COP1開催(ナッソー) |
1995 |
生物多様性国家戦略策定 |
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2001 |
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ミレニアム生態系評価開始 |
2002 |
新・生物多様性国家戦略策定 自然再生促進法制定 |
COP6開催(ハーグ) 「2010年目標」採択 |
2004 |
外来生物法制定 |
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2005 |
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ミレニアム生態系評価成果発表 |
2007 |
第三次生物多様性国家戦略策定 |
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2008 |
生物多様性基本法制定 |
COP9開催(ボン) |
2010 |
生物多様性国家戦略2010策定 |
「国際生物多様性年」 COP10開催(名古屋)「名古屋議定書」採択 |
◎生物多様性に関する法律一覧
分 類 |
法律名 |
基本法 |
生物多様性基本法 |
国土の利用 |
国土利用計画法、国土形成計画法 |
基本法 |
生物多様性基本法 |
自然環境・景観の保全 |
自然公園法、自然環境保全法、自然再生促進法、景観法 |
森林生態系の保護 |
森林・林業基本法、森林法 |
河川・湖沼生態系の保護 |
河川法、水質汚濁防止法、水資源開発促進法、湖沼水質保全特別措置法、砂防法 |
沿岸・海洋生態系の保護 |
海洋基本法、海岸法、港湾法 |
都市緑地等の保全 |
都市公園法、都市緑地法、都市計画法 |
野生生物の保護・管理 |
鳥獣保護法、種の保存法、外来生物法、カルタヘナ法、動物愛護管理法 |
自然環境への影響評価 |
環境影響評価法 |
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