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建設IT読本2016

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2. 工事情報共有システム運用の留意事項について

施工プロセスの業務改善の一環として、公共工事及び民間工事において、それぞれ発注者と受注者間での工事情報共有システムの利活用が進められており、また元請会社と協力会社との工事情報共有システムもその適用が始まっている。それぞれシステム適用の背景や目的が異なるが、共有する情報の範囲を明確にして共有メンバーや費用負担も事前に確認し運用することで、システム導入の効果が得られると考える。

表2-1 工事情報共有システム運用の事前確認事項
表2-1 工事情報共有システム運用の事前確認事項

上記に示す以外に、特に以下の利用ルールとセキュリティ面で留意する必要がある。
1)利用ルールの事前検討
①システム運用者の設定
 システム環境設定(利用者の登録等)、問い合わせへの回答機能、等
②電子ファイル共有のためのフォルダ管理
 フォルダ構成、フォルダ追加変更の権利付与、フォルダのネーミング、等
③電子ファイル共有のためのファイル管理
 共有するファイル形式、ファイルネーミングのルール化、等

2)セキュリティ対策
①アクセス権限の設定と管理
 データの登録、変更、削除、閲覧等の権限の付与方法
 アクセスログ記録の機能
②ユーザーIDとパスワードに関する利用者への教育
 パスワードを他人に教えない、簡単なパスワードにしない、パスワードをパソコンなどに貼らない、等
③ウイルス対策ソフトの導入
 サーバ(必要により)及びパソコンへは最新のウイルス対策ソフトを導入する

今後なお一層、工事情報共有システムの適用は拡大することになる。工事情報共有システムを工事現場のさらなる業務改善につなげるためには、利用者の情報リテラシーの向上や自社システムとのデータ連携などがポイントになる。現在の建設業法では、施工を行った会社が完成図面、発注者との打合せ記録、施工体系図を10年間保存しなければならず、特に打合せ記録は工事情報共有システムでやりとりする書類である。このように業務へのIT活用は今後も拡大されていくため、情報システムを有効に活用した建設現場の生産性向上への取り組みを積極的に進めなければならない。

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